2011年1月13日木曜日

広島は平和記念都市

原子爆弾が投下された歴史を踏まえ、広島市は自らを平和記念都市として、平和の確立と核兵器の廃棄を求める活動を活発に行っている。

爆心地周辺は、広島平和記念公園として整備され、原爆ドームは1996年ユネスコの世界遺産に登録された。
核被爆地としての意味を強調する場合、カタカナでヒロシマと表記することがある。これは長崎も同様である。

広島市は1889年4月1日の市制制度制定時に市制が施行された全国31都市の1つで、それ以後は周辺の郡に所属する町村を吸収合併していった。その中で安佐郡全域は1973年までに広島市に吸収され、佐伯郡も大竹市・廿日市市・江田島市などとに分割されて消滅した。 これに対し、安芸郡の町村も広島市への統合が進んだが、周囲が全て広島市に囲まれた府中町、あるいは三方が広島市に接する海田町などは広島市との合併を選択せず、現在でも独自の町制を維持している。これは府中町にマツダの本社、海田町にも同社の関連企業があり、法人税などによって財政基盤が強い事も理由と考えられている。そのため、広島市では1975年に合併した旧矢野町地域が飛地となっている。 しかし、合併を選択しなかったこれらの町でも住民の日常生活や社会基盤整備では広島市との関係が深く、広域での水道や交通網の整備が進められている。

「国際平和都市・ヒロシマ」の歴史や知名度を背景として、第二次世界大戦で大規模な被害を受けた都市と姉妹都市・友好都市関係を締結する例が多い。なお、ハワイのホノルルに関しては、広島県が日本有数の日系人移民送出県だったという関係も持っている。

広島市は、中国地方あるいは中国・四国地方を管轄する国の出先機関や企業の支社が集中し、地方内で最も高い拠点性を有することから、有力な支店経済都市の一つとなっている。ただし、中国地方を1つの地方区分とする場合は、広島市がほぼ全ての拠点機能を独占しているのに対し、大阪市の拠点が近畿・中国・四国をまとめて管轄する場合、福岡市や北九州市の拠点が山口県西部地区を管轄する場合もあり、広島市が拠点性を独占するまでには至っていない。中国・四国地方を1つの営業エリアとする企業に限ってみると、広島市を拠点とする割合は、2007年12月末時点で、77.1%に留まっており、地方拠点をほぼ100%に近い値で独占する札幌市、仙台市、福岡市とは異なっている。

この地方では、瀬戸内工業地域内の各地に主に工業を中心とした有力企業が分散立地し、地域圏ごとの工業出荷額に応じて業務機能や都市機能が分散して、人口集積や第三次産業において抜きん出た都市圏、すなわち、プライメイトシティがつくられなかった。また、京阪神と九州北部の二つの地域に挟まれる形の地勢も影響して、広島市のテレビ局制作のブロックネットが少なく、広島市を中心とした地方としての一体感が醸成されなかった。

そのため、七大都市圏の中心都市の比較では、卸売および小売の年間販売額において6番目となっているが、ほぼ同じ面積の中国地方と南東北(域内人口や域内県民総生産合計が中国地方の3/4以下)で比べると、中国地方の中心都市・広島市の年間販売額は、南東北の中心都市・仙台市をやや上回っている程度、南東北とほぼ同じ域内人口・域内GDPの北海道の中心都市・札幌市からはやや水をあけられており、広島市は、背景人口・GDPの大きさの割りに地方全体に対する流通・小売の抜きん出た中心とはなっていない。

国土交通省の調査においても、広島を最大志向先とする高速道路流動は、鳥取西部、島根、岡山、山口東部であり、鳥取東部は大阪を、山口西部は福岡をそれぞれ志向し、実際の中国地方の範囲よりも小さくなっている。

このように、地方全域から見た広島市は必ずしもプライメイトシティとなっていない。しかし、「日本の縮図」や「日本の平均値県・地域」という語に代表されるように、平均的な人口世代分布を持ち、経済・社会・文化・商業・工業の様々な要素をバランスよく保持した「万能型都市・地域」となっているのが特徴であり、全国発売前の新商品の試験販売が行われる都市・地域としても有名である。またテストマーケティングを行う際、商品のCMが他県に漏れることがないよう、テレビの電波が県内で収まる、という条件においても、広島は適しているとも言われている。

なお、テストマーケティングが行われる場所として、他に宮城県や静岡県が有名だが、広島の場合、西日本における平均値県としての位置づけの他に、「新しいモノに飛びつき易い」という県民性がある、と見られることから、新商品の試験販売にうってつけであると言われている。

地下鉄は後述のアストラムラインの一部区間を除いて走っておらず、都市内交通の中核は路面電車が担っている。このため広島は「路面電車(チンチン電車)の街」として有名であり、広島電鉄の運行する路面電車の路線長や車両保有数・乗降客数は日本一の規模を誇る。世界的に路面電車に注目が集まるなか、「路面電車(チンチン電車)からLRTへ」と、人と環境に優しい交通機関へと変化しつつある。また、原爆で被災した車輌(被爆電車)を運行したり、旧型車の運行を行うなど観光客誘致にも力を入れている。 なお広島電鉄の名が示すとおり鉄道線も保有している。宮島線がこれにあたり、市内線と同様の車両が使用されるものの運賃体系や専用軌道、運行ダイヤなど若干趣きが異なる。