本州内陸部に位置する日本の県の一つ。海に面しておらず内陸県である。面積は全国第4位だが、盆地・山が多いため、可住地面積では千葉県や愛知県と大差ない。かつての信濃国にほぼ相当する(旧神坂村・旧山口村が岐阜県中津川市に編入される等の微妙な差異はある)ので、「信州」(しんしゅう)と呼ばれることも多く、特に観光ガイドでは「信州」と呼ぶ。古代は、科野(しなの)と書いた。県庁所在地は長野市で、善光寺の門前町として発展し、第18回冬季オリンピックの開催地となった都市である。本州の中部に位置し、周囲8県に隣接する東西約128km、南北約220km、面積13,560.55km²、東西に短く南北に長い地形である。面積は、北海道を除く46都府県のうち、岩手県、福島県に次ぐ面積を持つ。これは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の面積の合計に近い。長野県は群馬県・埼玉県・山梨県・静岡県・愛知県・岐阜県・富山県・新潟県と接し、日本で最も多くの都道府県と隣接する県でもある。中央部を高地が占める山地型の地形ではなく、むしろ北西の県境の飛騨山脈、南東の県境の赤石山脈の標高が高く、間の幾つかの盆地(伊那谷、松本盆地、佐久盆地、長野盆地など)を中心とした地域が形成されている。
大半は内陸部の気候(中央高地式気候)であるが、北部(長野盆地、白馬岳麓など)は日本海側の気候(日本海側気候)の特徴も有する。分水嶺が県の中央を走っているために、県内の南半分は太平洋側に近く飯伊地域の多くは東京都(伊豆諸島、小笠原諸島を除く)よりも南であり、県の最北端は那須塩原市やいわき市とほぼ同緯度である。自然が豊富であり、地域医療への関心も高いことから平均寿命も長く、世界一の長寿国日本の都道府県で一番の長寿を誇る。「日本の屋根」と呼ばれ、県境に標高2000m - 3000m級の高山が連なり、内部にも山岳が重なりあう急峻で複雑な地形である。数多の水源を擁し、天竜川(南信、諏訪湖を水源とし伊那谷を通る)、木曽川(中信)は南下して太平洋へ、千曲川(東信、北信)、犀川(中信)は長野市で合流して北上し、県境を越えて信濃川と名称を変えて日本海へ、姫川(中信)も日本海に流れている。長野県に流域をもつ一級河川としては、信濃川水系・天竜川水系・木曽川水系・姫川水系・矢作川水系・富士川水系・関川水系・利根川水系がある。
本州を縦断する糸魚川静岡構造線(糸静線)が県下を南北に走る。糸静線の東側は第三紀層が分布している。糸静線沿線の諏訪湖から中央構造線が南に走る。内陸側なので、気象など自然地理学では、中部地方の中央高地として分類される。長野県は内陸に位置するため、概ね内陸性気候だが、南北に長く、各都市の標高が異なり、更に山脈や盆地の形状などの気候修飾を受けるため、同じ県内であっても気候の違いがあるものの、全体的に冬の冷え込みは他の内陸県と比較しても厳しい。また夏は、長野市や松本市などの盆地部においては日中の気温は東京とほとんど変わらず、時には猛暑日になることもあるが、朝晩は涼しく、熱帯夜の発生する日は皆無に等しい。軽井沢、信濃町、志賀高原、菅平高原、八ヶ岳山麓、開田高原、野辺山高原、上高地などの標高が高い地域は、ケッペンの気候区分では亜寒帯湿潤気候 (Df) であり、通年で北海道なみの気候である。北信地方の大半と、中信地方・東信地方の一部は日本海側気候。
それ以外の地域は中央高地式気候である。降水量も地域差が大きく、県の東信から北信にかけては年間1000mm前後と少なめだが、中信から南信にかけては年間1500mmに達する。北信地方、中信地方、東信地方の一部地域は豪雪地帯または特別豪雪地帯である。県の南北で降雪条件が異なり、北部では西高東低の冬型、中部および南部は関東・東海地方で雪を降らせる南岸低気圧が通過する際に大雪を降らせ、県内では「かみゆき」と呼ばれている。南信地方の伊那谷は飯田市の旧南信濃村地域を除き雪は少ないが寒暖の差が激しい。長野県は就業率が高く、2005年度の国勢調査では(全)就業率 (61.3%) と高齢者就業率 (29.9%) がともに全国一であり、女性就業率 (51.1%) も全国第2位である。県内総生産は2005年度時点で名目が8兆1,992億円、実質(連鎖方式)が9兆4,066億円。精密機械(かつては時計や光学機器が主体であったが、1980年代以降情報通信機械器具、電子部品・デバイスなどに変化している。)
諏訪地域を中心に精密機械や電子産業が盛んであり、高地で気候が類似し、高級ブランド時計の本場であるスイスになぞらえ、「東洋のスイス」の異名を取ったこともある。法令系の企業が集積し、地方としては出版、印刷が多いことも特徴である。日本酒、ワインや味噌の醸造、飲料をはじめとする食料品製造業、農業では、高原野菜の栽培が盛んである。全域が中部電力のエリアになっている。中部電力を初め、東京電力、東北電力、関西電力、電源開発などの水力発電所がある。60Hzの電源周波数の区域が大半であるが、小諸市高峰高原、大町市の一部、小谷村の一部、松本市奈川、松本市安曇の一部、安曇野市穂高の中房温泉、飯山市の一部、栄村の一部などでは50Hzの区域もある。県企業局による発電事業として14の発電所があり、伊那市に南信発電管理事務所、長野市に北信発電管理事務所が設置されている。平成の市町村大合併は、他県ほど進捗せず、中小自治体が乱立する状況に変わりない。
ただし、広域連合制度が県内全市町村で活用されており、一部事務組合による広域行政も活発で、長野県においては特に合併推進をすべき事由はない。2005年には長野県から岐阜県へ越県合併の事例もあった。北信(北信地域、長野地域)、東信(佐久地域、上小地域)、中信(松本地域、木曽地域、大北地域)、南信(上伊那地域、飯伊地域、諏訪地域)の4地域は、自然地理や歴史や交通などの各面で、特徴が全く異なっている。これは、「信濃の国」(県歌)における「松本、伊那、佐久、善光寺」の4区分にも象徴されている。 大まかに分けると、北信、東信、中信、南信は、それぞれ長野県の北部、東部、西部、南部の地域となっており、北信と南信を除いて、4地域は互いに接している。長野新幹線・信越本線・飯山線・小海線や国道18号・上信越自動車道の沿線である北信と東信は、千曲川流域で主に中山道と北国街道沿線に当たる。北信は、新潟県・群馬県に接しており、戦国時代には村上氏・武田氏・織田氏・上杉氏の支配圏に置かれて来た。
善光寺街道沿いであった経緯や長野新幹線・上信越自動車道で接続していることから、新潟県、群馬県、東京との繋がりが深い。近年では、首都圏からの観光客も多く訪れている。また、中信とは長野自動車道・篠ノ井線により接続している。北信は、長野盆地を中心とした地域であり、新潟県に近いことから、海水浴で日本海へ行く者も多い。