2011年3月27日日曜日

移管開業の直前には

1日当たりの利用者の目標を、JR時代の2002年度の実績(定期券などの売上からの換算)に相当する3400人としていた。しかしJRとしての運営終了日から約5ヶ月前の2005年(平成17年)秋に行われた利用者の実数調査では、10月2日(日)に1045人、10月6日(木)に2266人という結果が公表され、さらに工事期間中に運行されていた代替バスについては、2006年(平成18年)3月1日から28日の期間で1日当たりの利用者が、平日1776人、土休日744人という結果が公表されていた。そのため、ライトレール化による利便性向上に懐疑的な向きからは前途は厳しいという見方がなされたこともあった。しかし、開業初日に12750人の利用があり、その後も開業ブーム、開業関連イベントの開催、高齢者層を中心とした新たな需要の開拓、運賃の割引という要因もあって順調な利用が続き、開業から195日目にあたる11月9日の正午頃に乗車人数が100万人に達した。これを記念して、翌日から12月末まで、各車両の前面に100万人記念ヘッドマークが貼られていた。

そして、2007年(平成19年)3月31日までの開業初年度については、337日の営業で約165万人の利用があり、1日当たりでは4901人の利用となり、当初の目標を大きく上回った。このように順調な滑り出しとなったため、同年4月29日から5月6日までの間、様々な開業1周年記念イベントが開催され、車両にも記念ステッカーが貼られていた。開業2年目の2007年度は1日当たり4480人の利用(平日4723人、休日3988人)となり、開業効果および運賃半額割引(曜日・時間帯限定)を行っていた前年に比べるとわずかながら減少したが、目標の4000人は上回っており堅調な推移を見せている。2008年(平成20年)11月1日に乗車人数500万人を達成し、同年11月6日にポートラム500万人達成記念セレモニーが富山駅北駅1番線降車口前で行われた。沿線にある龍谷富山高校、県立富山聴覚総合支援学校、県立富山北部高校などへの通学利用のほか、沿線から富山駅に向かう通学利用も多い。また富山駅周辺の官庁や企業には、駐車場が確保できない所も多く、通勤にも利用されている。

そのほか週末の夕刻には、富山駅周辺の飲食店に向かう利用も多少はあり、さらに積雪時には、道路の混雑が激しく自転車などの利用も困難になるため、一時的に利用者が増える。JR時代は観光やマリンレジャーでの利用は少なかったが、末期は記念乗車や撮影でにぎわった。移管開業の際には、運転本数の大幅増加や話題性によって観光での利用増加が期待されており、終点に近い富山市岩瀬地区では観光客誘致に向けた環境整備が進められた。沿線にある富山競輪場は、広大な無料駐車場があり、しかも各地から無料送迎バスも運行されているが、ライトレール開業に合わせて富山港線の利用者と収入の増加を図るために富山駅北口とを結ぶ無料送迎バスが廃止され、代わりに競輪開催日に運賃が無料になる専用ICカードを富山競輪が運賃を負担して発行している。移管開業の前には、当路線とほぼ並行する2ルートの路線バスが運行されていたが、移管開業の際、鉄道とバスとの関係を競合から協働に転換を図ることになり、両路線バスが廃止され、その末端区間の輸送を確保するため、蓮町駅および岩瀬浜駅を起点とするフィーダーバスの運行が開始された。

フィーダーバスについては、乗り換えの際の抵抗感を極力減らすため、両駅にはホームに隣接する専用のバス停が設置されたほか、passca使用時限定だが、乗り継ぎ割引制度も導入されている。ただし従来の路線バスは、富山市中心市街地を経由して富山赤十字病院にいたる利便性があったため、複数回の乗り換えと運賃負担の増加を伴う廃止には反対が出た。なお岩瀬浜駅にはフィーダーバスのほか、土休日限定で射水市コミュニティバスが乗り入れており、万葉線との乗り継ぎも実現している。富山県は、2007年(平成19年)3月末時点で1世帯当たりの自家用乗用車の保有数が全国第2位というように車社会化が進んでおり、また商業エリアも郊外の主要幹線沿いのショッピングセンターやロードサイド店舗が主力になっており、公共交通機関にとっては厳しい環境にある。しかし富山市は、今後の人口減少や高齢化社会などに対応するため、鉄軌道をはじめとする「公共交通を利用したコンパクトなまちづくり」の実現に向けて様々な取り組みを進めており、当路線もその一翼を担うものと期待されている。

運賃は均一制で大人が200円、小人(小学生)が100円である。したがってJR時代に営業キロが6km以下だった区間では値上げになった。ただし後述する「passca(パスカ)」で乗車する場合は2割引の大人160円、小人80円となる。また65歳以上の富山市民を対象として「シルバーパスカ」を販売しており、これを使用した場合には日中に限り運賃が100円になる。なお開業から2007年(平成19年)3月31日までの約11か月間は、平日の日中と土休日は半額に割引されていた。定期券およびプリペイド券(回数券に相当)は、「passca(パスカ)」という愛称が付けられたICカードが使用されている。当初は当線だけで利用可能だったが、2007年(平成19年)9月21日より、接続するフィーダーバス、富山市中心市街地を循環するまいどはやバス、富山市内の駐車場1か所でも使用できるようになった。これに伴い、利用対象ごとに独自の料金体系を設定できるよう、取り扱い規則が変更された。ポートラム前方出口にある運賃箱とパスカのタッチセンサーなお「passca(パスカ)」は、ソニーのFelica技術を採用しておりサイバネティクス協議会規格にも準拠している。

プリペイド券は2000円で販売されており、そのうちデポジット(預かり金)として500円を差し引いた1500円分の利用ができる。またチャージ(積み増し)は、上限が20000円である。プリペイド券は開業当初、購入時のデポジットを差し引いた1500円やチャージの際の支払金額に対して1割を上乗せした額が入金され、乗車時の割引はなかった。その後2007年4月1日からは、休日などの運賃半額割引が終了したため、この上乗せが2割にアップした。しかし2007年9月21日からは上乗せがなくなり、代わりに運賃が割引されるようになった。そのほか富山競輪場利用者向けに「競輪専用ライトレール利用ICカード」が発行されているほか、開業記念プリペイド券が限定1500枚作成された。